おもちゃ屋店主のacoです
精神保健福祉士×保育士の店主が綴る 仕事と子育ての話
子育てのこと

育児マニュアルが大好きだった私の本棚に残ったもの

こんにちは

にじのおもちゃ屋レーゲンボーゲン、店主のacoです。

今日の題材は『子育て』

子育てについては、色々考え方がありますよね。

もちろん、私も子育て真っ最中の身として、日々悩むこともありますし、できない自分が嫌になったり、間違えたなと思うこともあります。

なので、まずは、これが正しいとか、その意見は間違っているということでなく、一人の体験談として読んでもらえると嬉しいなぁと思っています。

私の母は、保育士をしています。

幼稚園教諭時代も合わせると、かなり長い間乳幼児と関わってきました。

私が高校生くらいの頃、母は保育環境について学びなおしをしていました。そのころから母伝てに乳幼児期の大切さを聞いていたように思います。

そんな影響もあって、私は学生時代から育児書を読むようになりました。

ここで一番最初に出会った育児書は、以前このブログにも書いた『子どもへのまなざし』佐々木正美著。もちろんこれは、母がすすめてくれた本でもあります。

それから、福祉の仕事に興味を持ったために、福祉系大学へ進学、地方公務員の福祉職として勤務するわけですが、その間も私は育児書・保育書をいくつも読みました。

育児マニュアルといわれるような物もたくさん読みました。

イヤイヤ期はこれを試そう、子どもの好き嫌いにはコレ、東大に合格する子がやっている親子の習慣、今やるべき習い事TOP5…などなど

育児マニュアルって、どれを読んでも内容が具体的で、とても面白かったんです。

子育て経験のない学生なので、どれを読んでも新鮮だったし、具体的な方法や手段は実際にとても役に立ちそうだと思いました。

こんなに育児マニュアル読んでたら、福祉職としても母親としてもきっと困らないはず!と疑いもしませんでした。

しかも、私の場合、実習先や学校の中で「こういうときは、こうすると効果的なんですよね!」とか言おうもんなら、「すごいね!」「よく知ってるね!」とバッチリ褒められるおまけまで付いていました。

そんなこともあって、いつしか育児マニュアルが大好きな私に。

だけど。

いざ福祉職になってみたら、私が本で読んでいたような事例には、全く出会いません。母親になって育児マニュアルを読み返しても、1冊の中で使えそうなアイディアはせいぜい1つ2つ…

どうしてだろう?あんなに育児マニュアルを読んだのに、ほしい答えが全然見つからない。

それでも、私は新たな育児マニュアルを読み続けます。

だって、どこかにきっと具体的な答えがあると思っていたんです。

自分の中でうまくいかないモヤモヤを晴らすために、さらに育児マニュアルを読み漁る日々。

そして気付くんです。

あぁ、子育てに必要なのはハウツーやマニュアルじゃない。って。

どんなに本を読んでも、自分がほしい答えにぴったりあうマニュアル本なんて、存在しないんです。

だって、私がほしい答えを持っているのは、世界にただ一人、目の前にいるこの子。

そして、この子のことを一番知っているのは私自身だと思ったから。

イヤイヤ期の子どもはなんでも自分でやりたがるもの!という文字もよく見るけど、我が家の下の子のイヤイヤ期は“なんでも自分でやりたがる”ではなく、“自分で思い描いたストーリーが再現されたか”というポイントで勃発したし、トイレトレーニングだって世間一般で言われるような方法はほとんど試したけれど逆効果ばかり。

こどもを見ていると、自分が試したハウツーって「あぁ、これじゃないね」というのが自分でよくわかるんですよね。

たぶん、お子さんを育てているお父さんお母さんは、よくわかると思うんです。この「これじゃない」感。

人から親切にアドバイスをもらっても、「いやいや、違うのよ」と思っちゃうみたいな。

私ができたのは、彼の気持ちが今何を求めているのかを見つめながら、どうしたら気持ちが前向きに動くかなって考えて、信じることだけだったのかなと思います。

とにかく、目の前の子どもを見つめる。

見ていると、なんとなく気持ちがわかってくる。

その何百何千の繰り返しで、きっと親子は分かり合えるんだろうなと思っています。

そして、実は「子育てはマニュアルにしちゃいけない」とそのまま書いておられたのが、私が1番最初に出会った育児書を書いた佐々木正美先生なのでした。

結局私の本棚には、育児マニュアルは残っていません。

私の本棚には、佐々木正美先生の本だけが残りました。

目の前のこどもをちゃんと見つめる事。

子どもの心をわかってやろうとすること。

子どもには思い切り優しくしてあげること。

喜びをわかちあい、悲しみを受け止めてあげること。

子どもが思い切りくつろげる人間関係を親が作ってあげること。

優しくしてあげることに誇りをもって、堂々としている事。

私が大切にしたいことは、こういうことだったっていつも思い出させてくれる本です。

児童精神科医として、何千人もの子ども達と関わってきた佐々木先生が「子どもは一人ひとり違うから、マニュアルにしちゃいけないんだ」とおっしゃったことは、とても意味があるし、心から納得できます。

きっと今、子育てしながら、うまくいかない日々にイライラしたりもやもやしたりする人もたくさんいると思うんです。

そんなときに育児マニュアルを参考にするのも、私はいいと思います。

具体的な例を見ることで気付けることもたくさんあると思うから。

ただ、できれば、そのマニュアルの方法だけを信じるのではなく、目の前にいる子どものメッセージを、一番受け取れるのは自分だって、自分の感覚もちゃんと信じてあげてほしいと思います。

その子の性格、好きな物、嬉しい事、嫌いな事、安心できる場所、苦手な場所、そんな小さなすべてを、一番近くで見ているのは、育児マニュアルを書いている有名人ではないのです。

周りと比べず、周りの意見にだけ耳を傾けず、目の前にいるこどもを見つめて、心に寄り添うように子育てしてもらえたら、きっと心地よい関係が少しずつ作れるんじゃないかなって思います。

私も、また今日から新たな気持ちで、こどもを見つめて一緒に暮らしていこうと思います。