私の思い入れの強いおもちゃの一つが、このシケル社の「シルケフレンド」です。
シルケフレンドには、マチルダ、フリーダ、ラウラ、カーラ、ヘレーネという5人のお人形がいます。
我が家のお人形は、フリーダちゃんです。
少しふっくらした頬やお腹、しっかりとした腕と脚、可愛らしい瞳と、柔らかな髪。本当に子どもの愛らしさをそのまま人形にしたような、温かみのあるお人形です。
手作りなので、実物は一人ひとりお顔が違います。
手足が動くので、お座りさせたり、手をあげたり、遊びのイメージが膨らみやすいと思います。
お人形としては、かなり高額なので、子どもに雑に扱われてたり、汚されたりしたらもったいないと思う方もいらっしゃると思っています。私も今でも汚さないで~!って心の中では叫んでしまうことがあります。
ただ、このお人形に出会ってしまったとき、本当に一目惚れしてしまった私は、将来娘が生まれることがあれば、これをプレゼントするんだと、ずっと思っていました。
このお人形の一番の特徴は「心を投影するデザイン」と言われています。
そのお人形で遊ぶ子が、楽しい場面のときは嬉しい表情に、叱られた場面のときは悲しい表情にみえるという、このデザイン。本当に、素朴な表情をしています。
見る人によっては、無表情に見えることもあると思います。でも、そこが重要なのです。
子どもは、遊びを通して自分の気持ちの整理をするところがあります。
大人でも、日々自分の気持ちを整理することって難しくて、気持ちを言葉にできずにもやもやしたり、あとから自分の気持ちに気づくことってあると思います。
小さい子どもは、経験も知識も語彙も少ない分、自分の気持ちがわからないまま過ごすことも日常です。
遊びの中で、誰かになりきったり、その場面に入り切って、追体験することで、そのもやもやを発散させたり整理することができます。
その時に、自分が悲しい思いを表現したいのに、お人形だけがニコニコとずっと笑っていたら、その子の気持ちを邪魔してしまうことがあるように思えます。
子どもだからって、ずっと楽しい時間だけを過ごしているわけではないのです。
緊張したり、ちょっと居心地が悪かったり、お父さんやお母さんの気持ちを考えたり、本当は違う遊びがしたかったり、思ってたように上手に絵が描けなかったとか、今日の夕飯は自分の好きなメニューじゃなかった、とか。子どもなりに色々あるのです。
むしろ、子どもだからこそ、不自由で自分の思うようにはできないのです。
誰にも言えなくても、このお人形はいつも自分の気持ちを映してくれる。そういう無意識の安心感って、とても大切に思えます。
このお人形は、大きくてキラキラした目ではないし、ウエストがうんと細くて、脚が長~いお人形ではありません。(もちろん、そういったお人形で遊んだり、憧れたりすることが悪いとは思っていません。)
ただ、このお人形は、そういうキラキラした人じゃなくても、そのままでいいよって、そのままで素敵だよって、そう伝えてくれる気がしたのです。
寂しい時には、その寂しさを、
嬉しい時には、その嬉しさを、
そのまま受け止めてくれる。
無理に笑わなくていいし、無理に泣かなくていい。
子どもって、結構周囲の大人の顔色を見ています。そのなかで、こうならなきゃいけない、こうあるべき、っていう無意識を作っていっている気がします。
だからこそ、こんなお人形が一人いることに、私はとても意義を感じています。
なかなか量販店のようなおもちゃ屋さんではみかけないと思いますが、今はネットで「シルケフレンド」で検索すればすぐに出てきますよ。
ただ、この愛らしさは実物を見ないことにはわからないかもしれません。大きさといい、触り心地といい、表情といい、本当に本当に素敵なお人形さんです。
もし、出会うことがあれば、その子のお顔よくみてくださいね。
今のあなたの気持ちが、投影されてみえるかもしれません。