おもちゃ屋店主のacoです
精神保健福祉士×保育士の店主が綴る 仕事と子育ての話
大好きな本の事

「おやすみ、ぼく」を眠る前に。

今日は、大好きな絵本の話を。

子どもが眠りにつく前に、ベッドで絵本を読む。そんな習慣があるご家庭もあるでしょう。

私は、働いていたころはバタバタして、絵本どころではなかったのが現状です。

自宅に帰ってきてからも「早くご飯を食べて」「早くお風呂に入って」「早く歯磨きして」と、いつも心がせかせかしていて、その日一日の話をゆっくりすることもできなかったり。。。

ちょっと気持ちが疲れてしまっていた、その時、出会った絵本が「おやすみ、ぼく」でした。

柔らかい優しいタッチで、チンパンジーの子どもが描かれています。

このチンパンジーの無邪気な瞳、いたずらっぽい唇、柔らかそうな毛並み。

アニメーション的な絵ではなく、本当にこんなチンパンジーがいそうです。

ストーリーは、このチンパンジーの子がベッドに入って、自分の足や腕に一つずつ「おやすみ」を言っていきます。

「おやすみ、ぼくのあしさん きょうも うーんと はしったね」

「おやすみ、ぼくの ひざさん ありがとう ぼくを ささえてくれて」

言葉が、とても素直で、かわいらしくて、自分自身も「ありがとう」というこの子の気持ちになります。

本当は、私の体にも「ありがとう」って感謝して良かったんだと思いました。

くたくたに疲れたのは、頑張った証拠。

私の手、たくさんの書類を書いて、子どもたちのご飯を作って、髪を洗って、洗濯物を畳んで、たくさん動いてくれて、ありがとう。

そう思ったら、それだけで安心して眠れる気がしました。

大人になったら、誰かに褒めてもらえなくなるし、子育ては誰からも評価されないし、達成感が見えなくてモヤモヤしてしまうこともあるけど、

このチンパンジーの子の言葉が、すーっと心にしみこんで、

自分は自分のままで、今日も一日本当はたくさんの事をしてきたんだなって、

このチンパンジーの子と同じ気持ちになって、今日を終えられる。

この絵本には、最初と最後にお母さんチンパンジーも出てきます。

最初の場面は、お母さんが子どもの遊びを終わりにさせる姿、最後の場面は、眠りかけたわが子にお布団をかけてあげる姿が描かれています。

眠りにつくとき、お母さんに「もうちょっとだけ」とあるお願い事をしていますが、この安心した空気の中での親子のやりとりが、とても好きです。

私が、わが子たちが眠りにつくとき、この絵本を読まなくても

「この手さん、今日も たくさんの絵をかいてくれて ありがとう」

「この足さん、今日も お迎えのときに お母さんのところまで 走ってきてくれて ありがとう」

そんな事を言えるようになったのも、この絵本のおかげです。

ドキドキするような展開はなく、何かを考えさせたり、ちょっと悲しくなったり、そんな内容ではなく、まさに眠る前にぴったりの一冊です。