こんにちは。旅するおもちゃ屋さん開業に挑戦中の小池です。
今日は、子どもの読み聞かせについてのお話。
学生時代、幼児や児童へのレクリエーションに関するサークル活動の一環として、絵本の読み聞かせの講習会に参加した事があります。
絵本を子どもに読むときって、結構個性が出ますよね。
抑揚たっぷりに読む人もいれば、淡々と読み進める人もいます。
お話の途中で、子どもに色々質問する人もいますよね。
どんな読み方も間違いではないので、その時の子どもの状態や環境、読む人の考え方次第でいかようにもバリエーションが生まれるのが読み聞かせの面白さだと思っています。
私が受講した読み聞かせ講習では、子どもが絵本の内容を自由に受け止めて楽しめるようにすることに重点を置いていました。
例えば、話し方はあまり大げさにしすぎず、目線は読み手も絵本に注ぐようにする。
これは、子どもの集中が、絵本ではなくて読み手に移ってしまわないようにするためです。
あまり大げさに読んだり、読み手が子どもをじろじろ見ていると、子どもが読み手を気にしてしまって絵本の内容に集中できないということらしいのです。
“絵本”なので、もちろんストーリーとともに、“絵”が描かれているわけですが、よく見ると前のページとつながっていたり、隠れて動物がいたり、と作者の意図が見て取れる場面もたくさんありますが、これも読み手が子どもに教えることはありません。
子どもたちが、自分で気づくという楽しみを存分に味わうためです。
そのため、ページはややゆっくり読み進める必要があります。
また、絵本は表紙と裏表紙がつながっていることが多いので、絵本のストーリーを読み終えたら、必ず表紙と裏表紙の両方が見えるように一度絵本を広げてから絵本をとじること。
などなど、たくさんの読み聞かせのポイントを教わりました。
しかし、その講習の途中で、先生がこう言ったのです。
「みなさん、たくさん学ぼうと、メモをとっていらっしゃる。 でも、メモはとっても取らなくても、大丈夫です。 人間の脳みそって、ほとんどのことを忘れてしまうので。 でも、そのほとんどの事を忘れてしまっても、最後に心に残るものがあると思います。 その、一番最後に残るものが、今日ここで学んだ一番大切なことです。」
本当に、そうだと思いました。
そして、私の心に一番残ったのは、先生のその言葉でした。
結構、頭でっかちで色々なことを考えしまうところがある私ですが、それ以来“一旦寝かせて、その後残った感覚で決めよう”と思えることも増えました。
自分の中で、すぐには結論が出せそうにない事や、嵐のように情報量の多い講習会をうけたりすると、どうしても心が焦ったりジタバタしてしまうのですが、「本当に大切なことは、一番最後に心に残るもの」と心のなかでつぶやくと、スーッと心が楽になる感じがあります。
本当に自分にとって大切なものは、時間がたってもずっと心の中に残るのです。
そうやって、大切なことを自分の中に少しずつ貯めていけたらいいな、と思ったのです。
テクニックや知識は学ぶほど身につくけれど、きっとこの“自分の中の大切なこと”が生きていく上ではとても大切な財産になるんじゃないかなって思っています。
今の私の読み聞かせスタイルは、この講習で習った部分も取り入れつつ、子どもの年齢に合わせて会話したり、ちょっと抑揚をつけてみたり、子どもと一緒に驚いたり笑ってみたり、とその時々に合わせて変化しています。
だけど、一番大切にしているのは、子どもの気持ちです。
子どもの表情や声で、どんな風に絵本と関わっているか、なんとなく伝わってくるものがあります。
真剣に話の内容に聞き入っているとき、絵を眺めながら話にはあまりついてきてないとき、この話って本当に面白いの?って顔で聞いているとき、大笑いで話が脱線しそうになるとき・・・。
子どもと絵本の可化学反応は、見ていて私も面白いなと思います。
そして、どんな本にもその面白さや発見があることを、できれば共有したいなと思っています。
子どもたちが大人になったとき、きっと一緒に読んだ本のほとんどの事は忘れてしまうのでしょう。
それでも、なんだか絵本って好きだったなぁとか、この本大好きだった!という思いが残ったなら、きっとそれがその子の「最後に残る、大切なもの」なんじゃないかなって、財産なんじゃないかなって思うのです。
だから、読み聞かせの方法は一つじゃなくていい。
講習で習った通りでなくていい。
そんな風に考えています。
慌ただしい日々のなかで、絵本なんて読んでいる余裕はない!という方もいると思いますが、子どもの生活に欠かせない本について、何かの参考になれば嬉しいです。